GO Organics Japanスタッフ&ローカルファームコーディネーターのHiromiです。
今年から花づくりをスタート。農園の様子をコラムにてお届けしていきますので、どうぞよろしくお願いします。
やりたいことへの第一歩
熊本県上天草市大矢野町は「花の町」として昔から花づくりの盛んな地域。
数ある花農家の中で、我が家は輪菊を栽培しています。
菊の植え付け前の土壌改良作業、日々の消毒作業を横目に、いつか無農薬で花を作ってみたいと思っていました。
山や草原で咲くような小さな草花。
さっと摘んで、小瓶に飾れるような、身近で親しみやすいお花がいいなと。
2025年1月
「天草段々畑の夢野菜」馬場さんの畑を実際に視察して、お話を聞くうちに、楽しそう、挑戦してみたい、と決意。


その後、馬場さんに相談しながら、畑の場所の選定からスタートしました。
周りの木々や土の様子を見て日当たりの良さや水はけの良さ、水場の近さといった作業のしやすさもポイントでした。
場所が決まれば、いよいよ土づくり。もみ殻燻炭、米ぬか、落ち葉の準備。
空いている畑で無農薬栽培をはじめたいと相談して、「無農薬栽培は難しかよ~。」と笑いながら話していた義父が、「ついでに買っとったよ。」と、もみ殻燻炭を資材屋さんで購入してくれていました。
米ぬかは近くの精米所まで一緒に連れて行ってくれたり、「落ち葉はあそこの田んぼの近くがよか。」と落ち葉もすぐに入手できました。
いつもフットワークの軽い義父は、尊敬できる農家の大先輩です。
2025年2月22日 土づくり
材料も集まったし、しばらくいい天気が続きそうだし、息子二人を引き連れて畑へ。
お手伝いする!という長男と一緒に、もみ殻燻炭を畑の表面が黒くなるくらいにばら撒く。
次に、ふかふかの落ち葉の袋の上で遊んでいた次男も一緒に、思い切り落ち葉をばら撒いて。
最後に米ぬかを上から、フワーっと振りかける。
そこからは、耕運機の登場。
初めて自分で使ってみると、左右にグラグラして思うようにハンドルがきれない。
グネグネ進みながらもなんとか全体を混ぜて作業完了。
息子たちにとっては休日の外遊びの延長で、たくさんの落ち葉や土を触って遊んでくれていたので、作業の手を止められることもなく終了してホッとしました。
広い畑で土遊びしたり、虫を探したりできるのは農家の子供たちの特権です。



その後は気温が低く、まだ微生物の働きも鈍かったからか、雑草がなかなか生えてきませんでした。
ときどき、表面の落ち葉と土の中の落ち葉を比べてみると、土の中の落ち葉は少しボロボロに割れていて、土も湿った感じでした。
肥料や土壌改良剤に頼らない、自然栽培。
土をつくりながら微生物を増やしていく。
急がず、菊栽培や子育てと両立しながら、できる範囲で。とはじめた畑仕事なので、ゆったりとした心構えで取り組んでいます。



雑草が生えてくるのを待ちわびながら、種まきの準備。
まずは、作りたい品種の種まき時期の確認。
初めてのオーガニックフラワー栽培、種にもこだわりたい。
2025年3月26日 種まき
以前からおススメと聞いていた、グリーンフィールドプロジェクトさんのオンラインサイトで、これからの時期にぴったりの春蒔き用の種をピックアップしました。
次に、直播きした方がいいのか、苗を作った方がいいのかの判断。
馬場さんのアドバイスによると、直播きすると雑草と生育が競合するため、管理が大変になる。
ポット苗を作って植えると、後から生えてくる草刈りの管理をすればよい、とのこと。
まずはしっかり発芽させたいのと、苗床に使えそうなハウスが近くにあったので、ポットに種蒔きをすることにしました。
馬場さんのアドバイスによると、ポットは深さ10㎝程度のもので、ポット内の土の配合は、腐葉土1:畑の土1:もみ殻燻炭0.5。
クルンノウエン・茅畑さんの勉強会で、CN比(有機物中の炭素Cと窒素Nの質量比を表す指標)を学んでいたことも役に立ちました。
腐葉土は、落ち葉を集めた場所で落ち葉をかき分け、湿った部分を収集。
トレーにポットを並べて、土を順番に入れ、種蒔きとスムーズに完了。
事前に準備しておけばよかったと思ったのが、品種名のプレート。
種まきした後、見分けがつかなくなりそうで不安でした。
ちなみに私は牛乳パックで作りました。



1週間程度で、ジニア(百日草)の小さな芽が!
水やりと芽の周りに生えてくる雑草を取りながら、次々に芽吹く姿を見ては心の中でエールを送ってました。
ジニアがだいぶ大きく成長してきたので、一足先に定植。
畝は水はけを考慮して10㎝程度、黒マルチ使用という、茅畑さんの指示通りに実践。
大きなスコップを駆使して、畝づくり。倉庫にあった黒マルチを広げて、サイドに土を被せ、自己流で完成。



他の苗の成長の様子を見ながら、2025.5.15に2回目の定植。



種蒔きから約2か月後、葉っぱを虫に食べられながら、雨風にあおられながらも、ジニア第一号が開花!
日にちをずらして種蒔きしていた苗で、3回目の定植。
黒マルチだとこれからの猛暑、地温の上昇で、根が焼ける恐れがあるのでは・・・という馬場さんのご指摘から白マルチを購入。
黒マルチの畝は、上に刈った草をのせて、様子を見守ります。
今後は、今回の栽培状況をもとに、マルチの使い分けができるようにしたいと思いました。
ジニアの栽培方法を調べていたとき、わき芽を出してより多くの花をさかせるために適芯すると良いとのことだったので、Youtubeの先生のお手本通りに実施。



その効果か、種蒔きから3か月弱で一気に開花が増えました。
茎が曲がっていたり、花形も様々、その個性的な姿から、自然の中でのびのびと育った健やかさを感じました。
今度は、フラワーネット(曲がり防止)を使って栽培してみようと思います。
続く。


あとがき
オーガニックフラワーを通じて、地球環境のこと、微生物のこと、農家のこと、健康‥etc、一度立ち止まって考えるきっかけになってもらえたら。
私の感じているオーガニックの好きなところは、頭の片隅にあるだけでも心持ちが違ったり、行動が変わったり、暮らしのほんの一部にあるだけで、なんとなく幸せな気持ちになれるところです。
回りまわって、自分のことも大切にできる気がしています。
GO Organics Japanスタッフ&ローカルファームコーディネーター
Hiromi Arakawa

荒川 宏美 Hiromi Arakawa | 熊本担当
佐賀県出身 熊本県上天草市在住
2017年からGO Organics Japanでの活動を通じ、農業ボランティア活動に従事。
7年前に上天草市の菊農家の嫁に。
現在は5歳、2歳の息子を育てながら、菊栽培の見習い中。
2025年2月より、小さな畑でオーガニックフラワー栽培をスタート。
上天草市の農家さんや地域との繋がりを深め、生産者や自身の畑についてコラム執筆、視察手配・案内、GO Organicsメンバー向けの農産物発送などを担当しています。
あなたの地域の知恵と自然を、次の世代につなげる力に ~ローカルファームコーディネーター~ – GO Organics Peace International